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『HUNDRED LINE -最終防衛学園-』クリエイターズブログ Vol.14

小高和剛
2025.04.23
皆さん、こんにちは。
トゥーキョーゲームスの小高和剛です。

ハンドレッドラインの開発者ブログも今回で最終回。
今までお付き合いくださってありがとうございました。制作者の生の声を通して、僕らの作品にかける熱意が少しでも伝わってくれていたら嬉しいです。

で、今回は最終回なので、今まで言いそびれていた事や、発売直前だからこそ言える事を、遺書のように書き残しておきたいと思います。ほとんど言い尽くされてしまった感はありつつも、まだ言ってなかった大事な事もいくつかあったので。

最初に、実は本作「ハンドレッドライン 最終防衛学園」は●●●●●●なんです!
…って、伏せ字で言われてもわからないでしょうけど、この試みは新規IPのゲームとしては、おそらく史上初です。せっかくならユーザーの皆さんに驚いて貰いたいので、今はまだ伏せ字にしておきます。是非、自力でそこまでたどり着いて、驚いてください。
しかも、この試みはただ奇をてらっただけではなく、このゲームの面白さにブーストをかける為に、どうしても必要な仕掛けでもあるのです。今はなんの事かわからないでしょうが、その“ブーストポイント”にたどり着いたらすぐ気づくと思うので、楽しみにしていてください。むしろ、このゲームはそこからが本番だったりします。

そして、次にお伝えしておきたいのは、分岐に関する事です。
最初に言っておくと、“バトルでの仲間の犠牲”は分岐には一切影響しません。
体験版の感想をいくつか見ていて、ユーザーの皆さんが気にしているみたいだったので、それはないとハッキリ断言しておきます。
バトルでの仲間の犠牲は、分岐とは無関係です!
なので、遠慮なく仲間をどんどん殺して、学園を守り抜いてくださいね!
その方がこのゲームのバトルを思う存分楽しめるので!

ちなみに、この分岐というシステムに関して、僕は今まではあまり肯定的ではありませんでした。ダンガンロンパやレインコードもそうなのですが、“最高だと思うストーリー”を1つにまとめて提供する方が、分岐していくストーリーよりも感動を与えられると考えていたからです。分岐した物語って、分岐した分、魅力が薄まってしまう気がしていたんですよね。
でも、本作を作るにあたって僕は気付いたんです。
分岐したストーリーのすべてを“最高だと思うストーリー”にできるのなら、魅力が薄まらずに分岐していけるんじゃないかって。いや、むしろ、たくさんメインストーリーがあるお陰で、何度でもストーリーを楽しめるゲームになるじゃないかって!
それに気づいた僕は、さっそく打越にそうお願いしました。その際に、分岐したストーリーはジャンルさえも変えて欲しいと言ったのは、そのルートでしか得られない魅力をさらに強める意味もありました。
まぁ、それが地獄の開発の始まりだったんですけどね。
シナリオを書いても書いても終わらない…
絵を描いても描いても終わらない…
演出を付けても付けても終わらない…
ただ、完成した今となっては、そんな死ぬ思いをしてでもやって良かったと心から思っています。
分岐する度に新しいストーリーが広がり、そのルートでしか得られない感情や情報に一喜一憂する体験は、確実にこのゲームでしか得られない物語体験になりました。
地獄の開発のお陰ですね…!

それと、これは各種インタビューで繰り返し言っている事ですが、本作「ハンドレッドライン 最終防衛学園」はトゥーキョーゲームス初の自社IP作品になります。
制作資金も、パブリッシャーであるアニプレックスさんと折半する形になりました。でも、だからこそ、自分たちが納得するまで作り上げる事ができました。今までは、開発期間の延長や資金の追加は、お金を出してくれる会社に無責任に任せていましたが、今回はアニプレックスさんとの相談の上、僕ら自身で決断しなければなりませんでした。その結果、製作費は当初の予定よりもかなり増しましたが、それでも本当に心から納得のいく出来で発売を迎えられました。
これが最後の作品になっても悔いがないというのは、大げさでもなんでもない、僕の心からの本心です。この「ハンドレッドライン最終防衛学園」こそが、小高和剛というクリエイターの最高傑作と胸を張って言えます!

そして、最後になりましたが、この場を借りて、このゲームに携わってくれた皆さんに感謝の気持ちを伝えさせてください。
本作の制作には、本当にたくさんの方々に協力して頂きました。
パブリッシャーであるアニプレックスの皆さん、開発会社であるメディアビジョンの皆さん、ムービーを作ってくださったJETスタジオの皆さん、声優の皆さん、そしてトゥーキョーゲームスの仲間達、他にもたくさんの方々のお力があったお陰で、なんとかこのゲームを作り切る事ができました。
本当にありがとうございました。たくさんワガママ言ってすみませんでした。
このゲームに携わった事が、ほんの少しでも皆さんの誇りになれば幸いです。

発売後、このゲームは作った僕ら自身の手を離れ、ユーザーの皆さんのものになります。
どう育っていくかは、もう僕らのコントロールできるところではありません。
それでも、このゲームはきっとユーザーの皆さんの手で、大きく育ってくれるはずだと、僕は確信しています。
僕らがやっているのは、アート活動や趣味ではなく、あくまでゲームビジネスではあるけれど、作り手が本気で面白いと思ったものを、魂を込め、命を削って、限界突破し、諦めずに最後まで作り切って届ければ、必ずユーザーの皆さんに支持され、その結果、売れてくれるのだと僕は考えています。
甘い理想論かもしれないけど、その甘い理想論を僕はクリエイター人生を賭けて証明したいと思います。

さぁ、もうすぐです! 僕らの渾身の力を込めた「ハンドレッドライン 最終防衛学園」を、渾身の力で受け止めてください!